受け継がれる匠の技と心
そうだったんだ!飛騨の匠
古くから「匠の里」として栄え、現在でも建築業に従事する人の割合が高いといわれる飛騨。奈良時代以降、高い技能を持っていた飛騨の匠たちは都に派遣され、藤原京や平城京、平安京の建築にも携わったと伝えられています。万葉集や日本書紀、今昔物語、源氏物語などにも、飛騨の匠たちの真面目で一途な仕事ぶりや高い技術への賞賛が描かれているほどです。先人たちが磨いた技法は今に受け継がれ、建築はもちろんのこと、家具や一刀彫、陶芸、飛騨春慶塗りなど、飛騨を代表する様々な分野に活かされています。
お散歩中にも見られるワザ
匠の技が活かされた美しい町並み
古川町の中心部は明治37年の大火でほぼ消失しましたが、飛騨の人々はその後、伝統的な建築様式を踏まえて家を建て直しました。現在でもその名残から、殿町、壱之町、弐之町を中心に、伝統的な町屋がいくつか残っており、新しく建てられた一般の家々も、飛騨の匠の技を随所に取り入れ、美しい古川の町並みを守っています。最近では、そんな町並みを楽しもうと、観光案内所や匠文化館などで配布されている町歩きマップを片手に、写真を撮りながらのんびりと散策している観光客も増えてきています。出窓や出格子、玄関戸、塗壁、雲など古くから受け継がれてきた飛騨の伝統的な建築技術は、町のいたる所で見かけることができます。
これぞ匠の技が凝縮された建物!
町一番との噂も・・・匠文化館からの眺め
飛騨の大工さんたちは、自分が建てた建物の軒下に「雲」という装飾を施します。「雲」は大工さんによって形が違う紋章のようなもので、飛騨の家々の軒に見られる大きな特徴です。匠文化館は、そんな匠の技を受け継ぐ地元の大工さんによって建てられた立派な建物。なんと釘を1本も使わずに建てられ、館内では継ぎ手や組み木といった技や、建築に携わった大工さんたちの「雲」なども見られます。そして何といってもオススメなのは、ここからの景色! 2階の格子戸から望む、瀬戸川の流れと小路は、古川の町並みの象徴といってもいいほど。旅の始まりにここを訪れて、飛騨の町を知り尽くしたスタッフとおしゃべりしながら、旅のプランをたてるのもオススメです。