飛騨育ちのおいしい食材
2022/10/19

飛騨育ちのおいしい食材

肉、魚、野菜‥‥飛騨のうまいもん!

山紫水明と謳われる豊かな自然に囲まれる飛騨は、動植物たちにとっても理想の環境。飛騨市が「食材の宝庫」と呼ばれる所以です。全国的に名高い飛騨牛はもちろん、春の山菜、夏の川魚、秋のキノコ、冬のジビエ。さらには飛騨市で受け継がれる希少な伝承作物。四季を通じて、自然の恩恵を授かることができるのです。人々のお腹を満たす、飛騨市のおいしい食材を紹介していきます。

飛騨牛

国内はもとより世界にその名が知れ渡る高級黒毛和牛ブランド「飛騨牛」。山からやってくる栄養に富んだ水を1日に20ℓも飲み、恵まれた自然環境でのびのび育てられた牛の肉は、きめ細やかで柔らか。美しい霜降りは口の中でとろけ、芳醇な香りはまさに極上。和牛のオリンピック「全国和牛能力共進会」連覇の実績をもっています。

飛騨地鶏

飛騨地鶏は「大型黒軍鶏」と「名古屋種」の掛け合わせで誕生した地鶏。一般のブロイラーは味が淡白で肉が柔らかくなる傾向がありますが、赤みを帯びた飛騨地鶏には適度な弾力があり、肉々しい歯切れのよい食感が楽しめます。鶏本来の味わいに回帰した独特の風味も飛騨地鶏の特徴。年間出荷数が少なく、希少価値が高い地鶏です。

飛騨トマト

太陽の光を浴びて作られたトマトの糖分は、夜間の気温が低いほど多く蓄積されます。飛騨トマトが甘い理由は、飛騨の寒暖差が大きいことにあります。主な品種は麗月や桃太郎。糖度と酸度のバランスの良さに加え、しっかりとした厚みのある果肉が特長。トマト好きでなくても、「飛騨のトマトなら生でも食べられる」という声もよく耳にします。

飛騨ほうれんそう

本来、暑い時期には栽培するのが難しいといわれるホウレンソウですが、夏でも夜間気温が下がる飛騨ではそれが可能です。夏のホウレンソウといえば飛騨産と言われるほどで、盛夏期には関西の市場の80%を占め、年間200万ケースを出荷しています。飛騨のホウレンソウはえぐみが少なく、肉厚で柔らかく甘いのが特徴といえます。

山之村ホワイトコーン

標高1000mほどの奥飛騨山之村で栽培されているトウモロコシ。皮が薄く柔らかく、生のままでも食べられるほど! 一般のトウモロコシとは異なるシャキシャキとした食感があり、糖度が非常に高くフルーツのようにまろやか。手間がかかるので生産する農家も少なく、流通量が少ないことから「幻のコーン」と呼ばれることも。

ひめ竹

ひめ竹とはチシマザサの若竹のこと。別名「根まがり竹」。山々に囲まれた飛騨地方でも、限られた場所でしかとれない貴重なタケノコ。ひめ竹ならではの上品な香りと歯切れのよい食感があり、アクやエグミも少なく食べやすい。お祭や宴会にも欠かせない、飛騨の人に馴染み深い山菜の一つです。

フキノトウ

キク科フキ属の多年草で、日本原産の山菜の一つであるフキの若い花茎。飛騨の長く厳しい冬を越え、暖かくなりはじめた頃に春の訪れを告げてくれるのが、このフキノトウ。3月でも雪が降る飛騨地方では、雪が残る地面から顔を出す「雪割りフキノトウ」が食べられますが、 香り高くえぐみが少ないためご馳走とされます。

ヤマウド

ウドには地下などで日光を当てて育てる「軟白うど」もありますが、「ヤマウド」は日の光を浴びて育った緑色のウド。野生のものはあまり流通していませんが、飛騨山間部の林の際など日当たりのよい傾斜地などには緑色のヤマウドが自生しています。天然もののヤマウドは太くて、みずみずしく絶品。とくに採れたては甘く芳醇で、苦味もほとんどありません。

コシアブラ

タラの芽やウドと同じウコギ科の山菜で、木の芽の部分を食用に採ったもの。かつてこの木のあぶらを絞り、濾したものが塗料として使われていたため「濾油」という名に。飛騨では「こんでつ」という別名も。天然のコシアブラはコクがあり、風味が芳ばしく、香りも上品。天ぷらやお浸し、混ぜご飯などさまざまな料理で使われます。

飛騨やまっこ

天然のキノコが飛騨の里山に溢れているのはもちろんですが、秋から冬にかけての農閑期を利用した「菌床シイタケ」の生産も盛ん。飛騨産広葉樹の木材チップでつくられた菌床で栽培されたシイタケは、肉厚で歯ごたえもありジューシー。日持ちのよさでも高い評価を得ています。ちなみに飛騨ではキノコは「コケ」と呼ばれています。

飛騨なめこ

飛騨の野山にも自生しているが、現地で味わうなら地元や中部地方で流通している栽培された飛騨なめこを。飛騨なめこは、茎が長くて、シャキシャキとした歯応えと旨みが特徴。

アユ

宮川のミネラル豊富な水の中で、石についたコケを食べてすくすく育ったアユは「あばれ鮎」と称されるほどの活きのよさ。食べると身はふっくら柔らか、ほどよい脂がのっています。ヒレや尻尾をカットしたり、はらわたを取り除くことなく、そのまま食べることができるほど新鮮。キュウリやスイカのような爽やかな香りがするともいわれます。

イワナ

「渓流の王者」と呼ばれるイワナは冷たくきれいな水を好むため、上流の清流にしか生息しないといわれます。そんなイワナにとって飛騨の澄んだ水はまさに理想郷でしょう。とくに源流付近で採れたイワナの身には臭みがなく、刺身で食べても絶品。その引き締まった身は食感がよく、淡白かつ上品な味わいを楽しめます。もちろん塩焼きも最高!

飛騨米

米の美味しさを競う「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」において、金賞や特別優秀賞を連続受賞している飛騨市の米。全国約5700品が競うなか、人口わずか24000人弱の飛騨市が受賞していることはまさに快挙。飛騨市の米が全国トップクラスの品質であることを証明しています。これも豊かな水と寒暖差、朝霧、そして農家さんの努力の賜物。

飛騨市の「伝承野菜」ってなんだ?

飛騨には古くからこの地に根づき、人々の生活や伝統文化において重要な役割を果たしてきた作物がたくさんあります。その歴史や風味を後世にも伝えていきたいとの想いから、2017年9月に「飛騨市伝承作物認定制度」が制定されました。白たまごと赤かぶら3種を皮切りに、現在では10品種が伝承作物として登録されています。伝承野菜を育てる農家さんに話を聞きました。

 

 

 

「伝承作物の定義は、飛騨市内で栽培されているものであり、飛騨市の食文化や地域文化に溶けこんでいるものであること。個人的な感覚でいうと、最低100年はこの地域で作られて続けてきたもの、といえるでしょうか」
 
そう教えてくれたのは、多品種の伝承作物を育てる農家を営まれている中家(なかや)久和さん。

 

「江戸時代、あるいはもっと古くから、この土地に暮らす人がおいしいと感じて何度も繰り返し作ってきた野菜が、飛騨にはたくさんあります。そうしたタネを、各農家では独自に先祖代々受け継いできました。たとえば同じエゴマでも、山田さんちのは香りがいい、佐藤さんちは油がとりやすい、というように少しずつ違うんですよ。どの家庭にどんなタネがあるのかはまだ明らかになっていません」
 
これらのタネが全て出揃えば、きっと想像を超える多彩なバリエーションの野菜群となるだろうと中家さんは考えています。
 
「いま、飛騨の農家ではそれぞれが協力し合いながら、各家の持つタネの調査を進めているところです。伝承野菜は気候風土にあったところで育っているから、味が濃く、とにかく美味しい。在来種を守りながらブランド化した京野菜や加賀野菜のように、いずれは“飛騨野菜”と呼ばれる存在になれることを目指して、次の世代にこの貴重なタネと野菜を受け継いでいくつもりです」

 

 

 

こうした伝承野菜を手に入れるなら、ぜひ国道41号沿いにある「地場産市場ひだ」へ。“みんなのトマト店長”として知られる牧ケ野芳男さんが切り盛りし、地元の朝採れ野菜などがお手頃価格で手に入るとあって、地元でも人気のマーケットなのです。
 
2022年には道の駅「アルプ飛騨古川」への移転オープンを予定しており、店舗面積がさらに広くなり、品揃えもパワーアップするとのウワサ。こちらも楽しみですね。
 
それでは飛騨市で出会える伝承野菜の数々をご紹介していきましょう。

赤かぶ3種

種蔵紅かぶ(左)
一説によると、江戸時代頃から宮川町種蔵地区で自家採種によって栽培が続けられているといわれる。飛騨紅かぶに比べて形は細長く、色は茎まで赤く鮮やか。多品種と交配しないよう、種蔵の人と土地が守り育ててきた貴重な赤かぶらです。
 
臼坂かぶら(中)
かつて宮川町と河合町付近に存在した集落・臼坂(うっさか)で育てられていた在来の赤かぶ。種蔵紅かぶと似て細長い形で、葉付きのまま「長漬け」にすると歯ごたえがよく味わい深い。今は希少な存在で栽培する農家は少ないですが、何軒かが種を取り受け継いでいます。
 
船津かぶら(右)
神岡町梨ケ根地区の特産「船津かぶら」。いつから栽培されているかは不明。地名の「船津」にちなんで名づけられた船津かぶらは、栽培が難しいうえ、近年は種も減少している入手困難なカブです。さっぱりとした風味と歯切れの良さが好評。

白たまご

飛騨市伝承作物の第1号。少なくとも80年以上前から神岡町山之村地区で栽培されるインゲン豆の一種で、当時から白たまごと呼ばれていた。冠婚葬祭に欠かせない食べ物として、主に煮豆として食されてきました。

あぶらえ

昔から灯火のあぶらとして使われていたため、飛騨市ではエゴマのことを「あぶらえ」と呼びます。味噌と混ぜて五平餅のタレにしたり、すりつぶして砂糖で味付けしておはぎに使ったりと、ふだんの食卓から祭りのごちそうにも欠かせない食材です。α-リノレン酸の含有量が多く、血液をさらさらにする効果があるといわれています。

なつめ

砂糖をたっぷりと入れたスイーツのように甘い甘露煮でなつめを食べるのが飛騨地方に受け継がれる特有の食文化。瓶詰めにすれば、一年中食べられる保存食となります。

あずきな

正式名称はナンテンハギ。茹でると小豆に似た香りがするのが名前の由来。若芽を摘み取って天ぷらやお浸し、油炒めで食べますが、独特の風味があってクセになる山菜です。古川祭の時期に採れるので、お祭りにも欠かせない食材。

みょうが

早生の夏みょうがは、昭和47年に当時の宮川村長が群馬県より苗を持ち込み栽培をはじめました。これは宮川ミョウガともいわれ、香りも良く粒もしっかりしています。飛騨地方の在来種は秋みょうがで、中生、晩生の品種です。

たかきび

イネ科モロコシ属、古くから日本にある雑穀の一つ。その栄養価の高さから近年、徐々に注目度を増しています。河合町ではきび団子として遅くとも明治時代には食されていました。モロコシやソルガムという別名も。

小無雁ねぎ

河合町小無雁(こむかり)地区で100年以上前から栽培されている在来のネギ。葉の本数が多いのが特徴です。飛騨地方で昔から栽培されてきた「飛騨一本ねぎ」よりも短いが、肉厚で柔らかく、甘みが強い。

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